MINICA SKIPPER

誕生石。

男性にはあまり興味がないかも知れないが、多くの女性にとっては大事なことの様だ。

特に4月のそれは「ダイヤモンド」。恋人や夫から指輪やペンダントなどをものにする?…いや、失礼。最近の女性なら男など当てにしないで自分でさっさとお買い上げ?かな。

さて、「ダイヤモンド」とくれば菱型の三菱マーク「スリーダイヤ」。

ちなみに三菱自動車グループの「浦和レッドダイヤモンズ」の名の由来でもある。

その三菱の歴史は150年も前の明治3(1870)年に土佐藩が九十九商会を開業、かの岩崎彌太郎が経営者に就任したところに始まる。

数度の改称の後、明治17(1884)年には政府から長崎造船局を借りうけ長崎造船所と命名し本格的に造船事業を開始。

これは後の三菱造船株式会社に引き継がれていく。

大正3(1914)年にお馴染みの「スリー・ダイヤ・マーク」が登録される。

そして大正6(1917)年三菱合資会社造船部が三菱造船株式会社として独立する。

最初に手掛けた国内初見込生産乗用車「三菱A型」

[「三菱オートギャラリー」パンフより]

がこの年からだから100年以上も前のこと…歴史を感じる。

フィアットの模倣で試作的なもので台数も22台と僅かだったが、わが国の乗用車本格製造に繋がる先駆者と言っても過言ではないだろう。「瓢箪から駒」とは違うイメージだが、「造船から自動車」だ。

その後、昭和9(1934)年、船舶に加えて重機、航空機、鉄道車両を製造する三菱重工業株式会社が発足した。  

終戦後の昭和25(1950)年に「財閥解体」で、三菱だから⁉ではないが、3社に地域分割(東、中、西)され、内2社(東と中)が自動車製造を手がけ、総合すると二輪から四輪大型車までを網羅する事となった。

昭和39(1964)年、その3社が合併し改めて三菱重工業株式会社が発足する。

そして昭和45(1970)年に自動車部門が三菱自動車工業株式会社として独立した。

戦後の三菱の乗用車製造の流れは「ダットサン」、「トヨペット」、「いすゞヒルマン」などのボディー製造や外国車のノックダウンでアメリカのカイザー・フレイザー社の「ヘンリーJ」と広く知られる「JEEP」の製造を手掛けた事などで技術を蓄積している。

その技術を活かし、国民車構想の出現からの誕生と聞く戦後初の量産型四輪乗用車が昭和35(1960)年に発売される。車名もシンプルで、排気量を冠した「三菱500」 

[三菱オートギャラリーにて小生撮影]

モノコック構造のRRだった。強制空冷2気筒OHV、排気量493cc最高出力21psの「NE19A型」エンジン搭載の全輪独立で定員は4名、価格が40万を切ったことで評判となった。

飽きの来ない雰囲気がなんとも言えず好きだった。

翌昭和36(1961)年、三菱が初の軽四輪自動車として開発したのが「三菱360」

[カタログより]

だった。

その後、昭和37(1962)年発売の「COLT 600」

[カタログより]

からの「COLT」 シリーズがスタート。

軽乗用車の「MINICA」

[カタログより]

もこの年に登場する。

そして昭和39(1964)年、車種構成拡大に向けた200

0ccの「DEBONAIR」

[発売2年後あたりのカタログから]

が誕生する。初代モデルのエンジンは水冷直列6気筒頭上弁式2000㏄105psだった。

GMのH・S・ブレツナーの手になるアメリカンスタイルでリアフェンダーについた独特のロケットランプとL型のテールランプが特徴的だった。当時の同クラス乗用車の中で全長、全幅ともに最大で高級車に相応しく剛性に優れたユニットコンストラクションフレームやタンデムマスターシリンダーを採用するなど安全で快適な乗心地とスムーズな走行性能を実現した。   

アメリカンドリームの虜だった中学生の私にとっては感動‼だった。

その後、昭和40(1965)から昭和43(1968)年にかけてもファストバックの「COLT 800」を始め「COLT」

[カタログより]

シリーズや「DELICA」など精力的に開発を進め昭和44(1969)年に

「COLT GALANT」

[発売2年後あたりのカタログから]

や「MINICA70」が発売される。

昭和45(1970)には「GALANT GTO」

[カタログより]

が登場。

そして「GALANT FTO」の登場と同じ昭和46(1971)年、今回ご紹介の『MINICA SKIPPER』を発売する。

2代目「MINICA」ベースで、「GTO」の軽版の様なイメージの精悍な印象だった記憶だ。

「新発売」と印字されたカタログの最初のページには「こしゃくにも・・・・・・クーペです。」とあり、「ダイナミックなウエッジシェープを基調とした堂々たるクーペです。」と表現している。

「GT」、「L/L」、「S/L」の3グレードが設定され、「快適装備」8項目と「安全対策」7項目を挙げている。

エンジンは「GT」に「2G10型SUツインキャブ仕様GOLD ENGINE38ps/7000rpm3.9kg‐m/6500rpm」を「L/L」、「S/L」には「RED ENGINE34ps/6500rpm3.8kg-m/6000rpm」を搭載した。

トランスミッションは4MT、懸架装置はフロントが独立COIL SPRING式、リヤはFIVELINK・COIL SPRING式を採用した。

ちなみに名の由来は「小意気な船のキャプテン」ということだ。

その名にふさわしい「小意気」なくるまだった。

ところで発売の昭和46(1971)年は、皮肉にも環境庁が発足し、八王子市でわが国初のノーカーデーが実施された年。

残念ながら、そうゆう時代になっていた。

一方で、日清食品が今も人気の「カップヌードル」を発売した年でもあった。

(敬称略)

[2022‐4]

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