HONDA LIFE STEP VAN
本田技研工業の創業者である本田宗一郎は昭和35(1960)年に創立された「本田技術研究所」の創立50周年に当たって…「私は研究所におります。研究所で何を研究しているか。私の課題は技術じゃないですよ。どういうものが、〝人に好かれるか〟という研究をしています。」と言ったと「Honda Magazine」2010Summer巻頭の「挑戦する心」に載せているが、いかにも彼らしいと思うところだ。
喋ることがすべて語録に載りそうな人物で、インタビューなど興味津々だった思い出だが、書籍などに残されているのはありがたいことだ。
前置きが長くなったが、今回はそんな企業イメージにぴったりの『HONDA LIFE STEP VAN』をご紹介する。
発売は昭和47(1972)年。「実用性のなかにも乗用車的感覚が取り入れられ」「集配業務からレジャーまで」「新しい″ミニバン・スタイル″を先取りした5ドアの軽商用車」だ。
小生の感想としては、何とも言えず魅力的だった。
エンジンは水冷直列2気筒横置OHC公害対策の356ccで30ps/8000rpm2・9kg・m/6000rpm。
サスペンションは前輪が「マクファーソン式 コイルバネ」で後輪は「リジットアクスル 半だ円板バネ」を採用した。
インパネ部のデスクが特徴的で好きだった。
ここで発売の頃のカタログからの画像をお楽しみ頂く。
<デスクが何とも言えず好きだった>
改めて現代風アレンジで「N-BOX」に追加させたら、これまた大人気になると思うが如何だろうか?
ところで発売の昭和47(1972)年は、札幌オリンピックが開催された年。
浅間山荘事件で揺れた年でもある。
自動車初心者マークが登場した年でもある。
また、わが国における本格的乗用車製造約20年だったが鉄道は開業100年の年だった。
最後になったが、この翌年に社長と副社長を退いた本田宗一郎と朋友藤沢武雄。
基礎を創ってそこまでの見事な二人三脚経営、社員を愛したご両人に脱帽である。
(敬称略)
[2021-2]