TOYOTA 2000GT
是枝裕和監督作品の「万引き家族」が第71回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞した。これに限らず日本人監督の活躍は嬉しいものだ。世界の黒沢など大物監督の遺した名作も多い。小津安二郎の「東京物語」などは昭和の風情が色濃く出ていて好きな作品だ。山田洋二の「寅さん」や宮崎駿のアニメなども幅広い層に人気のシリーズである。
ところで、特に外国映画の中には名車が登場する作品が少なくない。そんな観点から映画を観るのも面白そうだ。
英国作品で、世界をまたにかけた「007」シリーズには3作目から「ボンドカー」として主に英国の名車が登場するが、今回ご紹介する『TOYOTA 2000GT』が5作目の「007は二度死ぬ」に起用されたことを知る人は映画ファンならずとも多いだろう。
昭和40(1965)年の東京モーターショーでの鮮烈デビュー。翌昭和41(1966)年には超高速耐久トライアルで連続78時間の平均速度206.18km/hをマークし、高性能と耐久性を実証。そして、昭和42(1967)年に市場投入された。
流れるようなボデーに秘められた「3M型」2000cc直列6気筒DOHCエンジン。「ソレックス・サイドドラフト双胴型を3基装備」し、150ps/6600rpm、最高速度220km/hの実力だ。当時の英国の名車にも匹敵する本格的GTだった。X型フレームに前後輪独立懸架、4輪ディスクブレーキ、5速ミッション、「わが国では例のないリトラクタブル・ヘッドランプ」を装備していた。
今風に言えば、ヤマハとの見事なコラボレーションで337台が手作りで製造されたと聞く。ヤマハのエンジン技術とボデービルド。さらには、ピアノづくりで培われた木目のインパネに7連メーターを配するなど、インテリアもマシンを引き立てている。ボデーサイドにある四角の部分には何が入っているのだろう?と思ったものだが、実はサービス性の向上を図った結果だったのだろう。
市場投入された昭和42(1967)年は、GS(グループサウンズ)の時代。タイガース、テンプターズ、ゴールデンカップスなど多くのグループがデビューした年である。私も日劇ウエスタンカーニバルに当時の彼女!?と行った記憶が鮮明によみがえる。また、クレジットカード時代を迎えた年でもある。都電銀座線など9系統8路線が廃止されたのもこの年。自動車増によるものだったのだろう。
一方、「昭和の大宰相」と言われた吉田茂が逝って日本武道館で戦後初の国葬。そして、自動車業界のライバル、日産コンツェルンの鮎川義介が逝ったのもこの年である。
さて、昭和44(1969)年発行の後期型カタログからの画像をお楽しみいただくことにしよう。ハイブリッド、いや、EVで再起など夢を膨らませながら…。
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(敬称略)[2018‐12改]
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