DAIHATSU MIDGET
「ダイハツ」は今年111周年を迎えた歴史あるメーカーだが、その長い歴史の中でも特に印象に残っているのが今回ご紹介する『ミゼット』の大活躍で、他のくるまとは一味違う想いがある。
何故か?…「身近だった」の一言なのだが、当時小学生だった私の頭の中で、将来庶民がくるまを持てる世の中になるなど考えられなかった中で瞬く間に庶民の生活に身近な存在になったからということなのだろう。
徹底したマーケッティングと関西の人気芸人、大村崑や佐々十郎などのTV‐CMを展開するなど当時としては画期的な広告宣伝手法を取り入れたことも成功の鍵だったのだろう。
初代の生産開始が昭和32(1957)年。
バーハンドルで、エンジンは強制空冷2サイクル250cc8psの「DKA型」キック式と「DKⅡ型」セル仕様で最大積載量300kg、最高速度は60km/hだった。
この年、南極観測隊昭和基地の建設が始まり、小田急には新型ロマンスカーが登場、ダイエー1号店(「ダイエー薬局 主婦の店」)が大阪に誕生。一方、後楽園ではルー・テーズ対力道山のタイトルマッチ61分3本勝負、力道山の空手チョップが炸裂した。何れも懐かしい…。
その後、昭和34(1959)年には10psにパワーアップ。
この写真は、その際に発行されたと思われるカタログからのものだが、
「ミゼットは働きもので人気もの」…「街のヘリコプター」とあり、今ならさしずめ「みんなのドローン」とでもいったところか
そして、セル付きの「DKⅡ型」をベースにサイドドア付きキャビン仕様の「DSA型」を加え、その「DSA型」をベースにバリエーションを拡大する。
その一つは荷台を箱型にしたライトバン「DSV型」で、カタログには
「完全密閉」…
- 優美なスタイル / お店が走ってる *
「小さくても350kgの積荷で65kmの出力をもつタフな車です」
「ミゼット ライトバンの決定版」としている。
もう一つは2人乗りの「DSAP型」で、カタログには
「客と貨」…
- プラス・シートの魅力 / 雨の日もまた楽し *
「小さくても250kgの積荷で65kmの出力をもつタフな車です」
「手軽で便利な客貨兼用車 ミゼットAP プラス・シートの魅力です!」と表現している。
一説には、お店のお兄さんのデート用にも大活躍だったとか…
同じ年、並行して対米輸出向けの丸ハンドル車が北米で発売され、国内向けの「MP2型」も完成するが、別途ご紹介する。(敬称略)
「2018-10」